説明しにくい症状でストレスが関係

リラックスができない

ストレスコントロールをアドバイス


自律神経失調症とストレスについての説明と治療及びアドバイス

自律神経失調症とストレス

 

自律神経失調症は、よく聞かれる症状です。けれども漠然としか理解されていないようです。というのは他の病気と違って、検査 例えばレントゲンやCT撮影 血液検査なので確認され診断されるのではなく、しかも人によって症状が異なり、とても説明しにくいからです。

あえて言うなら、自律神経失調症とは、体のどこかが悪い病気ではなく精神的なストレスが大きく影響する神経系の機能不全です。

 

自律神経失調症の症状とは

 

よく見られるのが・頭が重い・手足がしびれる・喉が使える・胸が圧迫される・ドキドキする・下痢になる・耳鳴り、めまい・空咳 ・胃が重い、食欲がない、なんとなく腹部の違和感がする・顔が赤くなる、のぼせる・手足に汗をかく

症状は一定のこともありますが、色々と変化することも多いです。例えば胸の圧迫感から、喉のつかえなど。さらに心配事などストレスが重なると症状がひどくなり固定化します。

自律神経の機能と身体の調節のメカニズム

 

私たちの体は環境の変化や状況によって、自動的に周囲に調和し適応するように調節されています。例えば寒くなると、発汗を少なくして体温を保持します。運動してる時やストレスがかかって緊張状態が続くと、血液が体の隅々に流れるように、心臓の動きが早くなり、脈拍が上がり血圧も高くなります。

その他仕事や何かに夢中になっている時は、集中力や思考力を高め瞬時わに判断できるように脳に血流がスムースに流れるようになります。

逆にリラックスする時は心臓がゆっくり拍動し、血圧が下がり反対に胃腸の働きが良くなり、食欲が増します。このような自動調節機能を制御しているのが自律神経系と呼ばれる神経機能です。

自律神経には活動したり、精神活動を高める神経系統である交感神経と、リラックスして心身の緊張を弱めるための神経系統である副交感神経の2つに分かれます。

これは天秤のように、一方の神経系が高まると他方の神経系が下がる仕組みになっています。

つまり副交感神経と交感神経の二重支配により私たちの心身は、意思によらずうまく調節されているのです。

 

自律神経失調症とストレスと不安の関係とは

 

ところがこのような自動調節機能も・環境が変わる  ・精神的なストレスが重なる・生活リズムが不規則になる。

このようなことが続くと、自律神経の機能不全や機能破綻が生じ、突然喉のつかえ、難聴 、手足のしびれ、顔面のほてりなどの多彩な症状が出現します。

適度な休養で症状が改善すれば最善ですが、もし家族の介護や、転勤や転職、好きな人と別れなど、ストレス、心配事が解決しない時は、症状が持続したり、別の症状に変わったりすることもあります。

その理由は精神的な緊張感がとれず、症状に注意が集中し、感覚が鋭敏になってますます症状を強く感じるようになるからです。「何か大きな病気になったのか?もう治らないのでは?」と不安を感じます。不安ー症状ーストレスこの3角関係が生じ症状が慢性化します。

 

自律神経失調症の患者さんの訴え

 

具体的な症状について例を挙げて説明します。

 

・Aさんのケース

会社にいると、緊張感のためか何回も尿意を催す。何度もトイレに行くので、同僚から変な目で見られ、「よくトイレに行くなぁ!仕事が辛いのか?」と言われた。何気ないその言葉がストレスとなって心に残った。そのようなことが続き、会社では力まないとトイレができず残尿感も生じた。膀胱炎を疑い、泌尿器科のクリニックで検査を受けたところ尿検査、血液検査も異常はなく、「神経質になってる」と医者には言われたが、それ以後もひどくなり公衆トイレでも人目が気になって、緊張しなかなか排尿できなくなった。

 

・Bさんのケース

48歳女性。顔がのぼせ、手足の冷えを感じ、腰が重くなり生理が不規則になった。以前不妊症のため婦人科でホルモン治療を受けていたので、ホルモン剤の副作用か、あるいは更年期の始まりかと悩み続けた後、再度婦人科の先生に相談に行った。「ホルモンも原因しているかもしれないが、閉経期による更年期障害ではありません。きっと自律神経の不調でしょう。」と言われ漢方薬を処方された。

最初は症状が改善したような気がしたが、夫が単身赴任になって1人で過ごす時間が増えると、不安に襲われとても弱気になり症状がぶり返した。

 

・Cさんのケース

営業の仕事がきつく、数字に追われノルマを課され、オフィスに帰ると報告そして会議に次ぐ会議。帰宅しても仕事のことが気になってどうしても気が休まらなかった。

あまりにもストレスが大きいため、転職も考えたが、会社の人間関係は良好で、仲間意識もあって踏ん切りがつかなかった。

けれども張りつめた緊張の糸が切れたように意欲、気力、集中力もなくなり、上司の勧めで会社の産業医に相談した。「精神的に疲れているので、長期休暇を取れば」と勧められた。

「休養して気分も少し楽になった。でも出社すると、周りに申し訳ないような負い目を感じ、挫折感と虚脱感を感じた。」と小声で答える。そうしているうちに胃のもたれ、鈍い胃痛、食欲不振、頭痛ひどい肩こり、気だるさなどが生じた。会社の検診では「コレステロールが高いそれ以外は正常です」と指摘されたが、どうしても疲れが取れない。やっとのことで、心療内科を受診したところ、軽いうつ状態に自律神経失調症が併発していると言われた。

 

・Dさんのケース

28歳の女性。都会に出て、会社の寮生活が始まり、非常に頑張った。2年もすると昇給して余裕ができたのでアパートを借り、恋人と同居したが、経済的なことや仕事が終わってからも、家事に追われるなどストレスで精神的にいっぱになった。そんな折、急に息苦しくなって動悸がした。

ひどい時は「死ぬかもしれない?」と言う恐怖感まで生じた。心療内科で治療を受けたが、「不安発作です。症状が起こった時に安定剤を飲んでください。」と言われた。薬を飲むと症状は改善したが、喉になんとなく異物感を感じ、人混みに入ると、動悸がして息苦しくなる日々が続いた。

再度受診すると「パニック発作はなくなったが、自律神経失調症が残っている」と言われた。

 

・Eさんのケース

35歳男性。 転勤し通勤時間が伸びた。ある日通勤途中で人身事故のため電車が30分以上も止まりすし詰め状態が続き息苦しくなった。と同時に便意をもよおした。その間は何とかうまく乗り切ったがそれ以後、トイレのない電車に乗るのが怖くなった。

そしてストレスで緊張がみなぎると冷や汗が流れ、お腹がゴロゴロ鳴り出し、お腹の調子が悪くなりトイレに駆け込むようになった。消化器内科に受診したところ過敏性大腸炎と言われ整腸剤と長時間作動性の安定剤が処方された。そうすると症状のことがあまり気にならなくなり何とか通勤できるようになった。

 

・Fさんのケース

24歳女性。 21 歳からクラブで接客業を続けていた。最初の頃は頑張れたが、立場が上になってくると、「店の売り上げを伸ばさなければいけない」と考え、お客さんとの会話に気を使いすぎ、精神的にヘトヘトになった。仕事が終わっても変に感情的になって、イライラして、なかなか寝付けず、眠ってもすぐに目が覚めて睡眠時間が足りなくなった。

寝不足もあってか、客のカラオケの音がとてもうるさく感じストレスになった。休日に目を覚ますと左耳が詰まり、聞こえにくくなった。驚いて耳鼻科に行き聴覚検査を受けたが、「問題はない一過性の耳管狭窄症で様子を見てください」と説明を受けた。その後耳鳴り、めまいが生じ再度受診した。「少し環境を変えてみたら、自律神経が関係してるかもしれないね」と言われた。

 

#プライバシーを配慮し特定の人の病状についての説明ではありません。

 

自律神経失調症の原因とストレスの弊害

 

原因は、ストレスや環境、生活リズムの変化など外部要因と、体質および心配しやすい性格が、相互に関係します。そう言われると何か神経質な人が生じる病気なのかと思われるかもしれませんが、いくら精神的なタフな人でもストレスが続いても、気を緩めることができなければ自律神経失調症になることがあります。

逆に頑張り屋さんに狭心症のような胸の違和感などの症状が出てくることがあります。

また忘れてはいけないのは、心の病気、例えばうつ病に伴って生じることや、不眠症などの睡眠障害になどによる睡眠不足が原因になっている自律神経失調症もあります。

自律神経失調症とは、その多くは心身がストレスで疲れきった時に生じる症状と考えてください。いってみればストレスの赤信号です。

 

自律神経失調症の治療とは

 

自律神経失調症の治療で欠かすことができないのは、症状がどのようにして起きたのか、その背景は、不安や恐怖感で症状が固定化していないかなど、問診(医師とのカウンセリング)を通じて明らかにすることです。さらに、「大きな病気がないか?」をチェックするため、今までの検診の結果も聞きます。

器質的な病気が除外されるとされると、次に、症状を弱めたり、不安を軽くするような薬を処方します。例えば下痢が続くときは、ビオフェルミンやトランコロンそれにマイナートランキライザーであるソラナックスを処方します。動悸が起こり息苦しくなる患者さんには、βブロッカーやワイパックスのような短時間作動性の安定剤を処方することが多いです。

その他心理的な頻尿症には抗コリン剤などを処方しますし、胃腸の不調を訴える人には、健胃剤、(セルベックス)やスルピリドそしてグランダキシン、ハイゼットのような自律神経を安定化させる薬も処方します。

このように患者さんの症状に合せて、薬を変えるのが自律神経失調症の治療の特徴です。さらにうつ状態に陥っている時は、抗うつ剤なども少量併用します。それだけでなく、

何がストレスになっているのか?どんな時に心身が休まるか?気分転換は? 医師との簡単なカウンセリングを通じて自己理解を深めていただきます。そうすることで心の中の緊張感が弱まりストレスに柔軟になり、症状が軽くなったり、症状があってもあまり気にならなくなります。症状に負けず弱気にならないように精神的にサポートしてます。

 

自律神経失調症はすぐに良くなるのか?

 

症状を完全になくすのは、はっきり言って難しいです。頭痛時に痛み止め(鎮痛剤)を飲むとすーっと痛みが引くようなような治療は望めません。

しかし治療すれば徐々に症状のこだわりや不安は改善します。そうなれば、症状があっても普段の日常生活はこなせます。しかし説明したように、小さなストレスでもそれが続いたり、解決できないような問題があると、緊張感が取れず、症状が長引きます。

このような時は、思い切って2~3週間ほど仕事や家事を休むか、上司や家族に正直に体調について話をし、協力してもらって無理をしないことが必要です。

心の緊張を緩め少しペースダウンして物事に取り組むと、交感神経よりも副交感神経神経が優位になり心身ともにリラックスできるようになります。そうすると、症状は改善します。

 

心療内科医としてのアドバイスとストレスコントロール

 

最初にストレス対策です。まず心身ともに疲労していることを認める。その上でストレスをためない。「何ができること」「何ができないこと」「何がしたいこと」「何がしたくないこと」について自分なりに考え整理する。次に「こうしなければいけない」「こうあるべきだ」とこだわり、自分に厳しくするのはやめる。他人がどう思っているか?くよくよしない。ありのままの自分、自分の持ち味を大事にし、飾らず自然体の自分を心がける。

私の印象では、自律神経失調症の患者さんの傾向は、ストレスがかかると、自分を追い込んで「良くない」「だめだ」と自分を責め、自分自身に不満をもつように思われます。

「今は無理してはいけない」と自分に言い聞かせ、一休みしてください。

次に「必ず良くなる」と気を強く持って下さい。3番目に、日常生活つまり仕事でも人間関係でも完全さを求め焦るのではなく、「ほどほどに」と気を楽にして穏やかな気持ちを取り戻してください。つまり全力投球ではなく、60%位のエネルギーで臨んでもらうことが良いと思います。

最後に症状があってもそれを引きずらず、生活にメリハリをつけ、気持ちが満たされるような時間を持つことが大切です。

 

まとめ

 

今まで説明してきたように、自律神経失調症は、ストレスが関係します。

もちろん心配なこと、不愉快なこと、辛いことは、誰にでもあります。しかしそのことばかり考えているのは間違いです。

それよりも受け止め方を柔軟にすべきです。繰り返しになりますが、赤信号になれば立ち止まるように、自律神経失調等の心身の不調が生じる時は、「それはストレスの赤信号である。!ストレスに向かって進むのではなく、立ち止まり、心と体を休めよう!」と思ってください。

できるだけ、考え事をする時間を少なくし、ゆっくりくつろぎ、何もしないで良い時間を持つ。偏りのない食事をとり、よく寝て、時々ストレッチ体操など適度に体を動かし少し長めのウォーキングをする。。その後で、のんびり湯船につかる。余暇の時間は、

好きな音楽を聴く。映画を見る。旅に出て自然に親しむ。そうすると「症状があっても、うまく付き合いながら生活できる。くよくよするのはやめよう」と心に余裕が生まれます。こうしたプロセスの中で、おおらかな気持ちを養うことが大切です。

 

最後に

私が旧大阪新聞で連載した心の健康相談の中でのコラムをホームページのために要約しました。症状理解に役立てば幸いです。